「iPS研究」企業の社債めぐる詐欺 県内広範囲で勧誘か

「iPS研究」企業の社債めぐる詐欺 県内広範囲で勧誘か

出所:2013-08-27 信濃毎日新聞

人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究をうたう企業から社債購入を持ち掛けられ、長野市内の2人の女性が計1800万円をだまし取られた詐欺容疑事件に絡み、伊那市内の50代女性にもiPS細胞研究を掲げる会社から社債購入などに関するパンフレットが届き、電話がかかるなどしていたことが26日、分かった。

 長野中央署の調べで、伊那市の女性に届いたパンフレットや記載された電話番号などは長野市の被害女性に届いた書類と同じことが判明。県警は、県内の広範囲でiPS細胞関連をうたった詐欺的な勧誘があったとみて、警戒を呼び掛けている。伊那市の女性は電話のやりとりなどで不信感を抱いて伊那署に相談し、被害はない。

 「iPS細胞関連の会社から封書は届いていないか」

 伊那市の女性によると、7月初旬、A社社員を名乗る男から自宅に電話があった。男は「iPS細胞は将来性がある分野。社債を買う権利が欲しくて1軒ずつ確認している。銀行に預けるより断然お金が増え、子どものために残せるし老後に役立つ」と話したという。

 その約1週間後、今度は東京のB社から社債募集要項や申込書などの封書が届いた。パンフレットには、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞の「パイオニア企業」で創薬研究などをしているとあった。専門用語が並び、iPS細胞を開発した山中伸弥京大教授の写真も。社債は1口20万円で年利8~12%。営業担当の名刺もあった。

 さらに1週間ほど後、A社の電話番号で男から電話があり、社債購入の権利を譲るための紹介状が同封されていないか聞かれ、「無い」と答えると、名刺の番号にかけて紹介状を送ってもらうよう言われた。女性が「興味がない」と言うと、相手の口調が「下手に出ていると思って、なめるんじゃねえぞ」と急変。女性は恐怖を感じ、連絡は取っていない。

 女性は最初の電話の後と封書が届いた後、伊那署に相談。同署は状況を聞き、被害を受けないように助言したという。女性は「紹介状を送ってもらうために電話をかけたら、お金を要求されたのではないか」と推測する。

 一方、長野中央署によると、伊那市の女性宅に送られた「パイオニア企業」をかたった会社のパンフレットに記された社名、電話番号、所在地は全て、長野市内の60代と70代の女性が社債購入名目で現金をだまし取られた詐欺容疑事件でそれぞれの家に届いた書類と同じだった。

 今月21日、伊那市の女性が書き留めていたA社の電話番号に本紙記者が電話すると、「本人からでないと答えない」と切れた。さらに26日、B社のパンフレット記載の電話番号に記者が電話をかけたが、つながらなかった。

 同署は、パンフレット上の住所に会社の登記はなく、架空の会社とみている。また、長野市の2人の女性宅にパンフレットが届いたのは7月で、同じ時期に続出していることから、全県的に送付された可能性もあるとみて、詐欺の疑いで調べている。

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