バイオベンチャー再活性化 新法追い風、早期承認も可能に

バイオベンチャー再活性化 新法追い風、早期承認も可能に

出所:2013-12-14

再生医療新法が11月20日に成立したことを受け、再生医療分野のバイオベンチャーが攻めの事業展開を志向し始めた。2000年前後に設立が相次いだバイオベンチャーだが、研究投資が重荷となり、多くが業績不振に陥った。新法成立で再生医療の法的な位置づけが明確化したことで再度、事業化に挑む。患者にとっても再生医療が身近な存在になりそうだ。

がん治療用の樹状細胞ワクチンを使った医療技術を医療機関に提供するテラ(東京都港区)は来年1月、全額出資子会社「テラファーマ」を設立、日本初の免疫細胞医薬品として同ワクチンの承認を目指す。すでに九州大学と共同でワクチンの大量培養技術の開発に取り組んでいる。さらに医薬品ベンチャーのヘリオス(同中央区)と提携、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ったがん免疫細胞療法の開発に乗り出す。ヘリオスがもつiPS細胞を臨床応用するための技術を活用し、早期の実用化を目指す。

がん免疫細胞療法を医療機関に提供するメディネット(横浜市港北区)も年内に、全額出資の子会社「メドセル」を設立、細胞医療製品としての承認を目指す。また東京都品川区に、15億円を投じて治療用細胞の培養・加工施設を新設する。来年前半に稼働させる。延べ床面積は約2990平方メートルで、横浜市港北区にある拠点の7倍の規模となる。細胞治療の普及で、培養や加工に対する需要が拡大すると見込んだ。

再生医療用細胞シートを開発するセルシード(東京都新宿区)は、シートの培養技術について共同研究している東京女子医科大学内の施設を使って、研究機関を対象とした細胞シートの受託加工に乗り出す方向で検討に入った。再生医療新法は、細胞のもととなる幹細胞を使った治療を安全に行うための「再生医療安全性確保法」と「改正薬事法」からなり、14年秋まに施行される。

再生医療安全性確保法が施行されると、これまで原則として医療機関以外では認められていなかった細胞の培養・加工の外部委託が可能になる。改正薬事法では、幹細胞などが再生医療製品と位置づけられ、条件付きで早期に承認が得られるようになる。セルシードの長谷川幸雄社長は「安全性を担保し有効性が予見される場合、薬事法の承認が早く得られるようになる」と歓迎する。

バイオベンチャーは臨床試験(治験)などの規制により実用化までの時間がかかるため、研究開発資金を回収できず、事業の縮小や倒産に追い込まれたところも少なくない。しかし再生医療への期待は大きい。経済産業省は、30年の再生医療(医療機器、消耗品などを含む)の国内市場規模は12年比で約60倍の1兆5500億円に達すると試算している。再生医療は治療費の高さ、有効性などに関する懸念から受け入れが進まなかった。新法を機に、再生医療の普及に向け、バイオベンチャーの間で細胞培養・加工拠点の新増設、幹細胞の薬事法上の早期承認を目指す動きが広がりそうだ。

【用語解説】がんの免疫細胞療法

患者自身のリンパ球や樹状細胞を培養して投与し、体内の免疫機能を高めることでがん細胞の活動を押さえ込む治療法。手術、抗がん剤、放射線に次ぐ「第4のがん治療法」と言われる。患者自身の細胞を使うため副作用が少ないという利点がある一方、がんの発症部位、進行状態によって効能の差が大きいなどの課題がある。また現状では公的医療保険の適用外(自由診療)のため、治療費が高い。

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