ヒトのES細胞から腎臓の構造を自発的に組織構築する腎臓前駆細胞への分化の誘導

ヒトのES細胞から腎臓の構造を自発的に組織構築する腎臓前駆細胞への分化の誘導

全世界における末期の腎不全の有病率は年間8%の割合で増加しており,腎臓の再生医療の実現が急がれている.腎臓は中胚葉系の臓器であり,中間中胚葉を経由したのち,尿管芽と後腎間葉とが相互作用することにより発生する.腎臓の機能の最小の構成組織であるネフロンは,この後腎間葉に由来するネフロン前駆細胞から発生する.一方,中間中胚葉は後部原条から発生する.このように,腎臓の発生の機序は明らかになっているものの,ヒトではネフロン前駆細胞は出生前に消失するため,出生ののちに失われたネフロンが自然に再生されることはない.筆者らは,この論文において,ヒトのES細胞を化学的に明確な培養条件において2次元培養し,後部原条をへて中間中胚葉への分化を誘導することに成功した.さらに,この中間中胚葉から尿管芽および後腎間葉への分化を誘導し,双方が自発的に腎臓の構造を構築しネフロンが形成されることを確認した.このヒトのES細胞に由来する腎臓の構造は腎臓の種々の組織を含んでおり,幹細胞による腎臓の再生医療の今後に光をあてる可能性がある.

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ヒトのES細胞から2次元培養系により誘導した腎臓前駆細胞は,そのままでも初期のネフロンである腎胞を形成した.腎臓前駆細胞に対し3次元培養系を適用すると,自発的な組織構築によって,より高度なネフロンが発生した.

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