京浜臨海部 iPS研究拠点形成進む/神奈川

京浜臨海部 iPS研究拠点形成進む/神奈川

出所:2013-08-07 カナロコ

世界初の臨床研究が実施される人工多能性幹細胞(iPS細胞)をめぐり、京浜臨海部国際戦略総合特区でも脊髄損傷の再生や肝臓再生など関連プロジェクトが臨床応用を見据える段階に入っている。特区の殿町地区(川崎市)に拠点を構え、人間と同じ免疫系を持つ「ヒト化マウス」を開発した実験動物中央研究所(実中研)との密接な連携を強みに、iPS細胞研究の拠点が形成されつつある。

 殿町地区では、京都大の山中伸弥教授と共同研究を行うなど、iPS細胞技術の研究を主導する慶応大の岡野栄之教授が実中研と連携し、脊髄損傷などの再生医療の臨床前研究を推進している。特区のプロジェクトの一つで、ヒト化マウスの脊髄損傷部位にヒトiPS細胞から作った神経幹細胞を移植。神経の再生、損傷部分の修復が実証されており、4年後の臨床研究開始を見据える。

 福浦地区(横浜市)でiPS細胞を活用した臓器作製に取り組むのは、横浜市立大の谷口英樹教授(再生医学)らの研究グループ。従来、肝臓のもととなる組織(肝芽)がマウスの体内で肝臓に成長し、人間と同じ機能を発揮することを確認している。

 「早ければ7年後の臨床応用」(谷口教授)の決め手になったのも、ヒト化マウスを使った臨床前研究だった。マウスに移植したiPS細胞由来のヒト肝臓が肝不全に対し極めて高い治療効果を発揮したことで、臨床応用へ大きく前進した。

 iPS細胞研究の加速化を踏まえ、国は本年度、「再生医療実現拠点ネットワークプログラム」を創設。初年度は約90億円を投入し、最長10年間、実現可能性が高い研究開発を支援する。中でも、岡野教授らによる脊髄損傷などの再生医療研究は、疾患、組織別に実用化を見据え、5年内の臨床応用を目指す「拠点A」に位置づけられた。

 7月には、横浜市大の谷口教授の臓器再生、理研統合生命医科学研究センター(拠点は横浜キャンパス)のNKT細胞再生によるがん免疫治療技術開発など5機関が、最長10年をかけ技術開発を行い臨床応用を目指す「拠点B」に選出された。

 殿町地区に2016年度の開設を目指す国立医薬品食品衛生研究所は、以前から実中研と共同でiPS細胞の安全性、有効性の基準作りに取り組んでいる。横浜市大臓器再生医学研究グループの武部貴則助手は「同じ特区内にあるため、研究、実験を迅速に進められるメリットがある」としている。

 京浜臨海部国際戦略総合特区を推進する産学官による協議会の金澤一郎会長は「特区を中心に研究成果が結び付き、先端医療の実現へ向けた国内の拠点が築かれつつある」と話している。

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