日本の医療分野の規制のあり方について

iPS細胞に関する技術は、病気の原因の解明や有効で安全な薬の開発のみならず、再生医療への応用が世界的に期待されている画期的な技術であり、世界中の未だ治療法が確立していない難病に苦しんでいる大勢の人々を救うことにもつながる、大きな可能性を秘めたものである。このような再生医療の実現のためには、迅速に基礎研究・臨床研究を進めて応用につなげることがなによりも重要である。このような観点からすると、下記記事のような一種の規制緩和は、iPS細胞の迅速な実用化、及び日本の技術力の向上・国際的競争力の強化のために望ましい方向であるといえる。

厚生労働省、機器・再生医療で組織新設へ―医療機器審査管理室を格上げ

出所:2013-09-04

厚生労働省は、医薬食品局審査管理課の医療機器審査管理室を改組し、課に格上げする。新たな課の名称は、「医療機器・再生医療製品等審査管理課(仮称)」で、医療機器だけでなく、実用化が期待されるiPS細胞を用いた再生医療製品の審査などにも対応する。厚労省は、総務省に組織・定員要求、財務省に人員増に伴う予算要求を行っており、年末の予算編成過程の動向を踏まえつつ、来年4月の設置に向けて、課の設置に必要な政令改正に取りかかる。政府の「日本再興戦略」には、医療機器・再生医療製品の実用化促進や市場規模の拡大などが盛り込まれており、審査の合理化・迅速化は急務となっている。

 

新たなポストも設置

医療機器・再生医療製品等審査管理課では、新たにiPS細胞などを使って身体の構造の再建を行う再生医療製品の審査をはじめ、ウイルスに先天的に欠損した遺伝子を保持させ、患者に投与した後に導入遺伝子が発現し、遺伝性疾患の治療効果を見込む遺伝性疾患治療製品などの審査の基準づくりなどを行う方針だ。

もっとも、一方で、以前のオピニオンでも取り上げたが、iPS細胞技術には腫瘍化リスク等様々な解決しなければならない問題点があるのも事実であり、安全性や有効性といった観点(特に前者の観点)からの規制が必要であることはいうまでもない。要は、迅速性の実現と、安全性・有効性の担保のバランシングの問題である。「規制」を研究や開発のブレーキと捉えず、適切な形での技術推進を実現するための道具として捉えて、官民が一体となり、iPS細胞に関する技術推進を育んでいくことが重要なのである。
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