富士フイルム 脳梗塞に事業領域を拡大

富士フイルムは、再生医療ベンチャー NCメディカルリサーチ(以下、NCメディカル)と資本提携し、第三者割当増資により4.3億円を出資したと発表した。脳梗塞に関する再生医療研究は、世界中に患者数が多いことや今後も高齢化により患者数が増加することが予測されており、研究開発が積極的に行われている領域である。主に、造血幹細胞と間葉系幹細胞が研究開発に使用されており、特に、間葉系幹細胞を使用した研究開発の一部は、臨床試験の段階に入っているものもある。

 

 
一般的に脳梗塞は、急性期、亜急性期、慢性期の3つに分類され、それぞれ発症後2日以内、14日以内、それ以降、という3つのフェーズに分けられる。国内では、循環器病研究センター(大阪)の研究グループが、造血幹細胞を含む自己骨髄単核球を使い、亜急性期の脳内の神経再生機能をターゲットとした研究を行っており、6人の重症脳梗塞患者に対して安全性と有効性を確認されたことから(※1)、医師主導治験による臨床研究の準備を進めている(残念ながらこの治療法は慢性期には効果がない(※2))。
 
一方、富士フイルムが出資したNCメディカル社と同様に、間葉系幹細胞を用いた臨床研究を進めている米国のAthersys社(以下、アサーシス社)は、既に急性期(発症後24~36時間)をターゲットにした「HLCM051」と呼ばれる製品の第二相の臨床試験を終了しており、約1年間にわたり調査が行われ、短期的(90日間)にも長期的(365日間)にも、治療を行わなかった患者の約5倍の効果や有効性があったと報告した。
 
アサーシス社の幹細胞技術を用いた、日本国内の脳梗塞に対する細胞治療医薬品の開発・販売等に関しては、ヘリオス社が2016年に既に独占的ライセンス契約を締結している。現在、アサーシス社は第三相の臨床試験に入っているが、同社から治験施設へ配付されたプラセボ製剤の構成成分の濃度が誤っていたため、日本で開発を行っているヘリオス社による国内の臨床試験は現在、一時的に中止されている(※3)

※1 Taguchi et al.(2015). Intravenous Autologous Bone Marrow Mononuclear Cell Transplantation for Stroke: Phase1/2a Clinical Trial in a Homogeneous Group of Stroke Patients. Stem Cells Dev. 2015; 24(19): 2207–2218
※2 Prasad K et al. (2014). Intravenous autologous bone marrow mononuclear stem cell therapy for ischemic stroke: a multicentric, randomized trial. Stroke 45:3618–3624
3※ ヘリオス 体性幹細胞再生医薬品の被験者登録を中断

富士フイルム 再生医療ベンチャーのNCメディカルリサーチ社へ出資

富士フイルム株式会社は、9月25日に、急性期脳梗塞を適応症とする再生医療製品の実用化を目指す再生医療ベンチャーNCメディカルリサーチ株式会社(以下、NCメディカル社)の第三者割当増資を引き受け、同社に430百万円を出資しました。これにより同社の全株式の約6%を保有します。また、今回の出資にあたり、本年8月末に同社と再生医療製品の開発・製造受託に関する業務提携契約も締結しています。

今後、NCメディカル社は、これまでの米国での非臨床試験を加速させ、2018年以降に日米の2カ国で臨床試験をすることを計画している。また、富士フイルムは同社の再生医療製品「NCS-01」の開発及び製造受託ビジネスを同社再生医療事業のパイプラインに加え、さらに再生医療領域の強化を進める。
 
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