さらなる「選択と集中」を目指すべき

日本は、世界的にみても高水準の医学研究と医療の質を持ちながら、医療産業は十分な国際競争力を持っていないと言われて久しい。その競争力のなさから医薬品や医療機器などが約3兆円もの貿易赤字になっているという人もいれば、あるシンクタンクよれば輸入超過による貿易赤字と国際競争力は直接的には関係ない、といった意見もあるそうだ。そもそも組織が競争力を獲得するためには、何が必要なのであろうか。「もしドラ」で一世を風靡した ピーター・F・ドラッカーによれば、競争力獲得のためには、「選択と集中」は必要不可欠だとされている。

株式会社日本トリム 株式会社ステムセル研究所の株式取得に関するお知らせ

2013-09-09 日本トリム

株式会社日本トリムは、平成 25 年9月9日開催の取締役会において、下記のとおり、株式会社ステムセル研究所(以下「ステムセル研究所」という。)の普通株式を取得(以下「本件株式取得」という。)し子会社化すること、および当該株式取得の対価の一部の支払いのための第三者割当による自己株式の処分(以下「本件自己株式処分」という。)を行うことについて決議いたしましたので、お知らせいたします。

 

株式の取得の理由
当社グループは、「快適で健康なヒューマンライフの創造に貢献する」ことを企業理念とし、現在の主事業である家庭用医療機器「電解水素水整水器」の製造販売事業の更なる拡充とともに医療、農業、工業等の新規分野でのグローバル展開を目指しております。医療分野においては、1999 年に米国メリーランド州に設立した米国連結子会社 TrimGen Corporation(トリムジンコーポレーション)で、独自の技術により開発した遺伝子検査キットを提供、患者の遺伝子情報に基づいて有効な薬剤や治療法を判断する「テーラーメード医療」分野で事業を展開しており、現在、抗がん剤、心臓血管系治療薬代謝遺伝子変異検索キットを中心に米国において順調に事業を拡大しております。 ステムセル研究所は、同じく 1999 年に設立されたわが国初の私的さい帯血バンクとして、「幹細胞を中心としたノウハウ、研究開発、細胞技術、特許、サービスなどを医療の進展に沿って提供し、難病を克服し、患者とその家族に健康を提供する」ことを使命に掲げ、将来の疾病や「再生医療」に備え、さい帯血を長期保管するサービスを主業としており、平成 25 年8月末現在、29,697 名の保管数を有す国内最大のさい帯血バンクであります。 「テーラーメード医療」及び「再生医療」は、医療のパラダイムを変えるものとして、産官学共同での研究開発の推進、実用化が見込まれております。

今後、当社グループとして医療分野(テーラーメード医療、再生医療)へ本格的に進出することにより、当社企業理念である「快適で健康なヒューマンライフの創造に貢献」し、また TrimGen Corporation 及びステムセル研究所の事業が近い将来相互にシナジーを生み出し、当社グループの中長期的な企業価値向上に大きくつながると判断し、この度の子会社化を実施することといたしました。 なお、今後、ステムセル研究所は当社の連結子会社となる予定でありますが、当社連結業績への影響は現在精査中であり、平成 25 年4月 25 日に公表した平成 26 年3月期の連結業績予想の変更が必要な場合は、速やかにお知らせいたします。

上記の記事の通り、日本トリムによるステムセル研究所の子会社化は、勝負すべき事業領域を再生医療に絞り込み、限られた経営資源を再生領域に集中的に投下するという「選択と集中」の方向性と合致するものである。しかし残念ながら、この手の企業の力を統合して強化するというニュースは日本国内ではまだまだ少ないと言わざるを得ない。それぞれの企業が個別に研究し、事業を推進しているのである。

もし国が再生医療分野を重要な成長戦略の1つと位置づけているのであれば、国として一体感を持って、さらに企業が経営資源を投下しやすい環境を整備すべきではなかろうか。例えば、特定領域の法人税減税や事業統合/M&Aに関する減税など、国によるより一層の英断を求めたいものである。海外と戦う競争力を獲得するためにも、各企業が保有する類似した再生医療のビジネス・シーズを結束して、さらなる集中と選択を行わなければ、過去の日本の家電産業の二の舞いになってしまうのでなかろうか。
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