民間の歯髄細胞バンクやさい帯血バンクに預ける意味とは

現在、全国に歯髄細胞やさい帯血を保存するサービスを行っている民間企業がある。現時点では事業として成功している民間バンク事業は存在しないが、将来、他家細胞を用いた再生医療が広がれば、幹細胞バンクの市場も拡大し、ビジネスチャンスは大きいと考えられている。

臍帯血民間バンク、廃棄せず2100人分保管 厚労省調査

出所:2017-09-12 日本経済新聞

臍帯血(さいたいけつ)の無届け投与事件を踏まえ、厚生労働省が個人の臍帯血を有料で保管する民間バンクの実態を調査したところ、契約終了後に廃棄処分せず保管し続けている臍帯血が5社で計約2100人分あることが12日、分かった。同省は「契約が不適切」と指摘。第三者に流出する恐れもあるため、任意の届け出制度を創設し、監視していく方針だ。

一方で、今回の厚労省の調査結果によると、不適切な管理をされているケースも存在し、民間細胞バンクの安全性や有効性が課題となりそうだ。過去のいくつかの研究でも、民間細胞バンク、総有核細胞数、細菌汚染率のいずれの数値も公的細胞バンクには及ばず、”もしさい帯血の有用性が証明されたとしても、民間バンクには課題が多い」と結論付けられている(Differences in quality between privately and publicly banked umbilical cord blood units: a pilot study of autologous cord blood infusion in children with acquired neurologic disorders:Transfusion. 2010; 5: 1980-1987.、Characteristics of thawed autologous umbilical cord blood:Transfusion. 2012; 52: 2234-2242.)。


もちろん、自己さい帯血では移植後の拒絶反応や移植片対宿主病(GVHD)のリスクが少ないというメリットもあるが、実際のところ、民間細胞バンクの細胞を利用した症例数が少ないため、その有効性に関しては科学的に実証はされていない。民間企業がバンク事業をすること自体に問題はないが、商業ベースのアプローチで、”自己さい帯血の方が良い”と言いきれるだけの根拠がない中で、脳性麻痺、Ⅰ型糖尿病、外傷などの疾患における再生医療において、自己さい帯血が重要な役割を果たす、という過度な期待をうたった宣伝をする事業者もいる。いま一度、我々は、民間の歯髄バンクやさい帯血バンクに預ける意味があるのか?という立場で冷静に考える必要がある。
 
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