進む再生医療・骨髄(3)血管形成 足切断を回避

進む再生医療・骨髄(3)血管形成 足切断を回避

2013-08-01 読売新聞

大阪府茨木市の会社員の梅沢滋和さん(44)が異変に気づいたのは2004年秋。右足の親指の爪の外側に、内出血のようなあざがあった。「何かにぶつけたのか」と、気にしなかったが、痛みは次第にひどくなり、親指が 化膿かのうした。外科医院で診察を受けると、「足が冷たい」と指摘され、病院で血管造影検査を受けるよう勧められた。

足の動脈が閉塞する難病の「バージャー病」と診断された。血液が十分に届かず、親指の壊死えしも進んでいた。
「現状では、痛み止めと消毒しかできない。最悪、右膝から下を切断することになる」

そこで主治医は先端医療センター病院(神戸市)で始まった骨髄の細胞で閉塞した動脈のバイパスとなる血管を作る再生治療の臨床研究を紹介してくれた。主治医はたまたま、再生医療の勉強会で、臨床研究を行う医師の川本篤彦さん(50)と面識があった。「何もしなければ、片足を失うだけ。たとえ、結果が出なくても、何もやらないよりまし」。梅沢さんは前向きだった。新たな治療法に対する希望が不安を打ち消した。

治療は、血液中に含まれる骨髄由来の細胞を集めて精製し、足に注射して新しい血管を作る、というもの。骨髄の細胞を血液中に増やすために、白血病の治療にも使われる薬を注射したことで、背中や関節が痛んだり、発熱に悩まされたりもしたが、治療を始めると日に日に足の痛みがやわらぎ、回復を実感した。手術時に切除した親指の壊死部分も傷口が回復した。病院のフロアを何周も歩いた。そのうち、階段の上り下りも自由にできるようになった。何より、ずっと伸びなかった右足の爪が伸びることに、喜びを感じた。毎日が新しい経験で、次に何があるか楽しみだった。手術の4か月後には仕事にも無事に復帰することができた。しかし、血管の再生治療は、閉塞した動脈のバイパスを作るだけで、病気の根治にはつながらない。

4年後、恐れていた事態が起きた。今度は、左足の親指に内出血のようなあざが見つかった。川本さんに相談して、運良く左足の治療も受けることができ、回復したが、病気の原因はまだ解明されておらず、いつ手や足に病気が再発するかわからない。梅沢さんはいまiPS細胞(人工多能性幹細胞)に期待している。「バージャー病の原因を解明して、根本的な治療法を開発してほしい」

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