難病治療へ共同研究、こども医療センターと慶大がiPS技術活用/神奈川

難病治療へ共同研究、こども医療センターと慶大がiPS技術活用/神奈川

2014-01-28 カナロコ

原因不明で根本的な治療法のない難病の克服へ、政府は40年ぶりに難病対策を抜本的に見直し、新たな治療法確立へ向けた体制を強化する。人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術など医療技術の進歩に着眼したもので、県内では既に県立こども医療センター(横浜市南区)と慶応大学医学部のグループがiPS細胞技術を活用し、子どもの難病の病態解明に着手。先行事例として国の取り組みを先導している。

同センターと共同研究を行っているのは、iPS細胞の研究を先導する慶大の岡野栄之教授の研究グループ。チャージ症候群など神経難病の患者らから体細胞の提供を受け、iPS細胞を活用し患者由来の神経細胞を作製した。いずれも希少性疾患で、臨床現場と基礎研究の連携によって細胞レベルの病態解明に道が開かれた。慶大の研究グループは、試験管内で培養した患者由来の神経細胞を検証。疾患と特定の遺伝子の関係、ほかの遺伝子の発現状況などの解明を進め、発症のメカニズムが明らかになりつつある。

一方、同センターでは黒澤健司遺伝科部長が、患者の診断、健康、生活管理、カウンセリングなどを通じて、個々の患者で異なる病状を継続して治療、観察。黒澤部長は「iPS細胞を使った研究と、患者の症状、人生を照らし合わせながら、より精度の高い病態解明を進めている」と現状を説明する。難病対策をめぐっては、10万人に1人という希少性疾患を中心に根治療法が確立されておらず、患者は生涯にわたって病気と向き合わざるを得ないのが実情だ。

厚生労働省は疾患の克服、患者と共生する社会の実現を掲げ、iPS細胞をはじめ先端の医療技術を活用した効果的な治療法の確立や創薬を本格的に推進する方針を打ち出す。医療費を助成する難病も現行の56種から300種近くに拡大する。24日に招集された通常国会で関連法案が成立すれば、来年1月から新制度を実施する。同センターの山下純正病院長は「希少性、難治性疾患の病態解明は、生命現象の根本の解明にもつながる。研究成果は細胞レベルでの健康寿命を延ばすなど、超高齢化社会を見据え社会に広く貢献できるのではないか」と話している。

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