iPS細胞を安全に効率培養 京大、味の素などと新手法

iPS細胞を安全に効率培養 京大、味の素などと新手法

京都大学iPS細胞研究所(所長・山中伸弥京大教授)は味の素などと共同で、iPS細胞の新しい培養法を開発した。ウシの血液など動物から採った材料を使わずに大量に増やすことができ、iPS細胞を治療に使う際の感染症リスクが大幅に減る。培養効率も従来法の30倍以上だった。iPS細胞による治療は、理化学研究所などの研究チームにより今年夏から目の難病を対象に本格的に始まる。今後の再生医療の普及を促す成果といえそうだ。

研究には大阪大学、ニッピも参加した。成果は8日、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。体の様々な細胞になるiPS細胞を、病気や事故で失った体の機能を取り戻す再生医療に応用するには、患者1人当たり数百万個の細胞が必要になる。再生医療の普及には安全性が高いiPS細胞を効率よく培養する技術が求められる。

新培養法は細胞を増やすのに欠かせない「足場」と「培養液」にマウスやウシ、ブタ由来の材料を使わない。BSE(牛海綿状脳症)といった動物が持つ病原体にiPS細胞が汚染されるリスクがなくなる。動物由来の成分がないとiPS細胞は大量に増やせないとされてきた。研究グループはアミノ酸やたんぱく質を組み合わせ、約300種類もの培養液を作製。動物成分を使わず効率よく増やせる方法を見つけた。

ウシの血清を利用する場合は安全性を確保するために牧場までさかのぼって管理しなければならず、培養コストを押し上げていた。iPS細胞を冷凍保存するのも今回の培養法だと簡単で、取り扱いも容易。培養費用を大幅に減らせる。iPS細胞を使った再生医療では、神経細胞や心筋細胞に成長させてから患者に移植する。新手法で培養したiPS細胞がこうした細胞に変化することを確認した。再生医療に応用した場合に、細胞の品質が治療効果を引き出せるレベルに達しているかどうかの評価はこれからという。

京大iPS細胞研は昨年、再生医療の普及を狙って、様々なタイプのiPS細胞を作製・培養し、蓄える事業に乗り出した。今後、この備蓄に新培養法を採用するかどうかを検討する。

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