iPSとみられる細胞 遺伝子使わず作製

iPSとみられる細胞 遺伝子使わず作製

出所:2014-01-25 中日新聞

ヒトの皮膚細胞に化合物を加えることで、通常は働いていない特定の遺伝子を機能させることに京都大の杉山弘教授(生物化学)らの研究グループが成功し、24日付の英電子科学誌に発表した。皮膚細胞が人工多能性幹細胞(iPS細胞)になるときに働くのと同じ遺伝子も働かせ、iPS細胞とみられる細胞を作製することもできた。
iPS細胞だと確認されれば、新しい作製方法となる。

これまでiPS細胞は、4つの遺伝子を導入するなどして作製していた。グループは、細胞内で機能していない遺伝子を働くようにする化合物を開発。化学的な配列を少しずつ変えることで特定の遺伝子を狙い撃ちにできる32種類をつくった。このうち一つをヒトの皮膚細胞に投与したところ、48時間程度でiPS細胞で特徴的に働いている遺伝子を働かせ、iPS細胞とよく似た細胞ができた。培養すると3週間程度で塊になった。今後はこの細胞が、他の機能を持つ細胞に分化することが可能かどうかを調べる。分化すればiPS細胞だとほぼ確認されるという。

ほかの31種の化合物はそれぞれ作用する遺伝子が異なり、投与された皮膚細胞の中の通常なら働かないインスリン分泌を促す遺伝子や、エイズを抑える遺伝子などを働かせた。糖尿病などさまざまな病気の根本治療につながる可能性があるという。杉山教授は「特定の遺伝子を働かせる『人工スイッチ』として遺伝子をコントロールできる。今後は、働いている遺伝子を働かなくする化合物もつくりたい」と話している。

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