iPS細胞の難病研究、産業育成へ国や企業も協力

iPS細胞の難病研究、産業育成へ国や企業も協力

出所:2013-04-20

iPS細胞を使った難病の研究には、政府や民間企業も協力する。有効な治療薬が得られれば患者の朗報になるほか、iPS細胞の産業育成にもつながるからだ。一方、企業にとっても効果的で副作用が少ない薬が得られれば、開発期間の短縮やコストの削減になる可能性がある。

iPS細胞は病気になった臓器や組織を作り移植する再生医療に使える一方、患者の病態を再現した細胞を大量に得られる特長がある。これは「疾患特異的iPS細胞」と呼ばれ、発症の原因が分からない難病の仕組み解明に役立つ。患者の体を傷つけることなく、病気の治療薬開発も容易になる。
文部科学省と厚生労働省はパーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者からiPS細胞を作り難病研究に活用するプロジェクトを今年2月から本格的に始めた。約50の研究課題について大学の研究者らが参加して「難病研究班」を発足、治療薬候補の物質を探している。
プロジェクトには支援企業も名を連ねた。製薬分野などでは大日本住友製薬と武田薬品工業、アスビオファーマ、カン研究所(神戸市)、味の素、エーザイ、日本新薬。周辺技術の開発などでは住友化学と東レ、ライオンなどが参加する。
iPS細胞を作るには高度な技術が必要なため、作製できる研究機関は限られる。国がこうした支援体制をつくれば、細胞作製の不得手にかかわらず様々な企業も難病研究に力を入れられる。

iPS細胞は新薬の候補物質の効き具合や副作用を試せる利点がある。1つの薬を作って製品化するまで10年以上の期間と数百億円の巨額投資が必要だ。iPS細胞で開発の効率化が見込めれば、製薬企業でも今後活用が増えると期待される。

(日本経済新聞)

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