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再生医療とは、(なるべく本人の細胞をもとに)人工的に培養した細胞や組織を用いて神経や骨などを人工的に作り、病気やケガなどによって失われた臓器や組織を修復/再生する治療法です。1998年、米ウイスコンシン大学グループは、ほとんどの細胞に分化できる胚性幹細胞(ES細胞)を開発することに成功しました。その後も、欧米や日本のグループが相次いで、ES細胞やiPS細胞と呼ばれる万能細胞から皮膚や神経、血管などを作ることに成功しています。(ちなみに女性がキレイさを求める美容外科領域などでは、既に体性幹細胞由来の再生医療の技術が実施されていますが(技術的にはまだ未確立ですのでご注意ください)、本サイトでは、主に難病や希少疾患などに対するiPS細胞及びES細胞の情報をメインに取り扱うこととしています)

 

 

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再生医療は、長年の課題であった、『ドナー(臓器提供者)不足』や『難病や希少疾患の治療』など、従来の医療では治療が困難な疾患を治療できるかもしれない革新的な治療法です。再生医療技術の究極の目標は、どんな細胞にも分化できる万能細胞(ES細胞やiPS細胞)から、必要な組織に分化誘導して、例えば神経や筋肉や臓器などを自由につくり出すことです。また、難病などの患者から作成したiPS細胞を研究することによって、今まで作ることの出来なかった特効薬を作ることもできるかもしれません。まだまだ研究は始まったばかりであり、肺や心臓、腎臓などの立体的な人間の臓器を作ることはできませんが、神経や心臓の筋肉、皮膚などの組織の一部は実際に作ることが出来るようになってきました。今後、ぞくぞくと世界中で臨床試験が始まることが予想され、大学や研究機関だけでなく民間企業なども参入し、これまで以上に再生医療の研究は加速するでしょう。

 

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再生医療では、万能細胞と呼ばれるES細胞やiPS細胞が重要な役割を果たします。人間の一生は、受精卵から始まります。たった一つの受精卵が分裂を繰り返し、約60兆個の細胞からなる人体をつくるのです。受精卵のように、体のあらゆる細胞に変化できる「万能細胞」を、皮膚などの体細胞から人工的な方法で作ったのが、iPS細胞です。もしiPS細胞から、脳や骨、血液などの細胞をつくられ、患者に移植されれば、白血病や糖尿病、脊髄(せきずい)損傷などの難病が治療できるかもしれません。

 

一方で、ES細胞は日本語で「胚性幹細胞」と呼ばれます。胚とは、卵子と精子が実際に受精して分裂してできた、赤ちゃんのもとのもとです。つまり、その名の通り、ES細胞を作るためには、ヒトの胚という赤ちゃんのもとが必要になります。これまでES細胞を作るために、人工受精した時に予備としてとって置かれる「余剰胚」が使われました。「余剰胚」そのものはほとんど廃棄されるものですが、それでも子宮に戻せばヒトになる可能性があります。命になることができる受精卵を壊してES細胞を作り、実験に使うということで、倫理的な問題による反発があり、なかなか研究が進みませんでした。

 

しかし、2006年。日本の京都大学の山中教授は、受精卵を使わずに、ヒトの皮膚から同じような赤ちゃん細胞(=iPS細胞)を作ることに成功しました。(2012年に、「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」によりノーベル生理学・医学賞を受賞)

 

es_ips_tigai <iPS細胞のメリット① 倫理的な抵抗感がない>
iPS細胞は、英語では「induced Pluripotent Stem cell」で、日本語に訳すと「人工的に誘導された多能性をもつ赤ちゃん細胞=人工多能性幹細胞」となります。人間の命になる可能性のある受精卵を壊して作るES細胞と違い、皮膚などの細胞から作られ、ES細胞と類似した性質を持つiPS細胞には、最大の課題であった倫理的な問題がなく、まさに人類史にとって革新的な発見でした。
<iPS細胞のメリット② 拒絶反応を避けられる>
臓器移植で必ず問題になる拒絶反応という言葉をご存じでしょうか。他人の細胞が体内に入ると、我々の体の免疫細胞はそれを排除しようと一斉に攻撃を始めます。そのため、臓器移植を受けた患者さんは免疫抑制剤を飲み続けなくてはならないのです。つまり、ES細胞からつくられた細胞は「他人の細胞」なので、移植すると拒絶反応が起こります。一方、あなたの細胞から作ったiPS細胞では、拒絶反応のない細胞・組織をつくれるのです。

 

 

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人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、皮膚や血液から作製できるので、一部の例外を除き、ほとんどの病気の患者から作製することができます。そのため、患者から作製したiPS細胞を用いて難病の原因解明や新しい治療法、治療薬の開発が期待されています。また、試験管内で増幅でき、長期保存も可能ですので、患者数が限られるような難治性疾患からの研究にすぐれた効果を発揮すると考えられています。

 

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まず多くの方に知っていただきたいことは、『再生医療による治療法はまだ確立していない(2013年5月現在)』、ということです。多くの患者の方々は、革新的な治療法になりうる再生医療に高い関心を持っていらっしゃいます。そのような患者ニーズをもとに、まだ確立されていないはずの再生医療が、一部の医療機関で自由診療の名のもとに実施されています。たしかに患者の自己責任のもとにこの治療法を選択する自由な権利もありますが、同時に多大なリスクが潜んでいることを患者自身はもとより、医師も認識すべきではないでしょうか。万が一、重大な事故が起きれば、とたんに研究自体が止まってしまうこともありうるのです。既にテレビなどでも報道されていますが、医師による安易な再生医療の実施が原因で失明するなどの健康被害が出ています。そして、日本以外の先進国では、まだ確立されていない(=リスクの大きさが不明な)再生医療の実施は、厳しく禁止されている背景も十分に理解した上で、患者も医師も未確立な再生医療の実施の判断をすべきだと思います。

 

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一方で、これまで日本国内では下記のリストの通り、世界の再生医療をリードする数多くの基礎研究が行われてきました。また現在では、世界中の研究者がiPS細胞の研究に参入し、しのぎを削っている状態です。このままだと最初に発明した日本の優位性がなくなってしまうのではないか、という議論もありますが、山中教授は、『競争が激しくなることにより病気で苦しむ患者を救う治療法が少しでも早く確立されることのほうが重要である』という趣旨の発言を繰り返されています。安全性が高く、効率的なiPS細胞の樹立法と、それを用いた治療法の確立にむけ、これからも世界中の研究者による革新的な研究が進むことが期待されています。

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(参考資料)

内閣府 科学技術政策(再生医療の現状と未来:http://www8.cao.go.jp/cstp/5minutes/001/index.html)より引用

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