京大・高橋恒夫先生のご講演
(公衆衛生学会 特別講演(2013/10/23、三重県津市))

 

■まず、用語がごっちゃになりがちなので整理

再生医療と再生医学:再生医学はあくまでも学究的な領域

 

再生医療と細胞医療:

・再生医療かつ細胞医療→狭義の再生医療。生きた細胞や組織を用いる、例:臍帯血移植

・再生医療は必ずしも生きた細胞・組織を用いない、例:増殖因子で活性化させた細胞をもちいた医療

・細胞医療は必ずしも臓器や細胞の再生を目的としない、例:がんの細胞免疫療法

 

臍帯血移植のような、幹細胞移植に用いられる細胞は4種類

・ES細胞、体性幹細胞、生殖幹細胞、iPS細胞

・それぞれの特長は厚労省のHPに詳しく書いてある

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002171t-att/2r9852000002179r.pdf

 

 

■体性幹細胞を用いた臨床研究は順調に進んでいる

・日本の幹細胞を用いた臨床研究は、網膜2件を除くとすべて体性幹細胞

・世界でも治験は実施されており、特に中国が盛ん

・体性幹細胞の中でも間葉系幹細胞(骨髄と脂肪細胞がよく使われる)は応用の幅が広いチャンピオン

・最近では胎盤由来の間葉系幹細胞を再生医療に再利用する検討も。

・質のいい軟骨に分化するので高齢者の膝関節治療への可能性も。

 

 

■ヒトES細胞を用いた臨床研究は米国で2件実施

・Geron社(米国)が脊髄損傷患者4例に対して移植実施(財政上の理由により、研究は他社に引き継がれた)

・ATC社(米国・欧米)が委縮型加齢黄斑変性患者4例に対して移植実施、2例で視力改善

 

日本でもヒトES細胞9株が樹立されているが、倫理的な問題からなかなか法整備が進まなかった

米国でのGeron社の働きかけをきっかけに法も動きだし、現在は一部のヒトES細胞が
幹細胞を用いる臨床研究の対象となった(一部のヒトES細胞の詳細定義については議論中)

 

 

■再生医療が公衆衛生的に利用されるために

・iPS細胞はバンク化が必要、140種類を準備すれば日本人の9割がカバーできる。
※バンク構築には16万人のリクルーティングが必要→成分献血で登録されたHLAホモドナーに提供の依頼

・法規制の整備が欠かせない

国を挙げてバックアップ、再生医療推進法は成立、再生医療安全確保法は審議中

下記サイト内の経産省資料(資料4-3および資料4-4)

http://www8.cao.go.jp/cstp/kyogikai/life/9kai/index.html

・10年後には、出産時のへその緒を凍結保存しバンク化、個別化医療や予防医療への応用も。

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