iPS細胞で血液の希少難病を再現、病態解明に向けて大きな一歩
出所:2013-08-03 IBTimes血液の希少難病「先天性無巨核球(きょかくきゅう)性血小板減少症」の患者からiPS細胞を作り、その病気と同様の状態を再現できたことを京都大iPS細胞研究所が発表したことが読売新聞によって報じられた。この研究の成功を機に、今後は病態解明や新治療法の開発等に大きな期待が寄せられている。
「京都大iPS細胞研究所」は山中伸弥教授が所長を務める研究所で、iPS細胞作製技術を用いた新治療法の開発や病気の原因解明などを実現するため日々研究を行っている。今回の発表は、同研究所の江藤浩之教授らのチームによるものとなる。
「先天性無巨核球性血小板減少症」とは、止血作用を持つ血小板の数が健康な人の5~10%しか存在しない状態で生まれてしまうという難病の一種だ。その後は赤血球-白血球の順で数が減っていき、治療方法は今のところ骨髄移植のみとなる。遺伝子の異常が原因であることは分かっているが、患者は世界でも40~50例程度と非常に少なく、詳しい病態などは現在も明確にはなっていない。
今回は国内の患者の皮膚からiPS細胞を作り出し、そこに血小板や赤血球への変化を促す試薬を投与した。その結果、健康な人に比べて血小板や赤血球の数が極端に少ない「先天性無巨核球性血小板減少症」独特の症状を再現することに成功した。