iPS細胞:作った網膜使い、理研が来年にも臨床研究

iPS細胞:作った網膜使い、理研が来年にも臨床研究

出所:2013-05-05

人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜細胞で、目の病気の治療を目指している理化学研究所が、患者を対象とした臨床研究を来年にも始めることが12日分かった。動物実験で網膜細胞ががん化せず、ヒトに移植しても問題がないと確認できたためで、実現すればiPS細胞を使った国内初の臨床研究となる。
同研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の高橋政代チームリーダーが同日、横浜市で始まった日本再生医療学会で明らかにした。
計画によると、さまざまな臓器組織になり得るiPS細胞から網膜の一部「網膜色素上皮細胞」を作り、悪化すれば失明につながる「加齢黄斑変性症」の患者の網膜裏に移植する。病気の進行を遅らせ、視力を少し回復する効果が期待できるという。この病気は60代以上に多く、国内に数十万人の患者がいるとみられる。
これまでの研究で、高橋氏らは、患者の皮膚細胞から作ったiPS細胞を網膜色素上皮細胞に分化させた。それをマウスに移植したところ、がんにならなかった。今後、同センターに隣接する先端医療センター病院で、院内の倫理委員会や国の審査を経て、5人の患者に移植し、安全性と効果を確かめる。
iPS細胞を使った臨床研究では、移植後のがん化が最大の課題だが、目の細胞の組織は他の組織と比べてがんになりにくいとされている。高橋氏は「早ければ来年中には臨床研究を始めたい」と話している。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20120613k0000m040049000c.html

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