iPS細胞の可能性を解説 中畑京大研究所副所長が講演
出所:2013-09-01 長野日報京都大学iPS細胞研究所の中畑龍俊副所長(68)=辰野町川島出身=の講演会(長野日報社など後援)が8月31日、辰野町民会館で開かれた。「iPS細胞を用いた今後の医療」を演題に、中畑さんが臨床研究の近い実例も交えて小児科医の立場で可能性を解説した。
講演会は、昨年10月の開院から1周年を迎える新辰野病院の移転新築を記念した特別企画。ヒト臍帯(へその緒)の血中に含まれる「造血幹細胞」を世界で初めて発見した中畑さんに講演を依頼し、再生医療に有効とされるiPS細胞の用途について話してもらった。
講演では「山中伸弥教授のノーベル賞受賞を機にiPS細胞を使った研究は世界中で進み、医療への応用も近い」と前置き。「各細胞への分化誘導によって病態の解明や治療薬の開発にも活用できるし、安全面でも技術は進んでいる」と強調した。患者から作ると倫理問題や拒絶反応を回避できるものの、費用と時間がかかることから、万人向けの細胞を保存する考え方も生まれてきたとした。
また、iPS細胞は難病の治療に効果的で「小児科のために生まれた発見」と指摘。その上で「日本は基礎的な研究こそ進んでいるものの、臨床との間に深い谷が存在すると言われてきたが、世紀の発見がこれを埋めるような新しい役割を果たすのでは」と述べた。
川島小時代の担任が実姉だった影響で藤沢小(現高遠北小)に転校したことや、川島から汽車で通学した諏訪清陵高校時代も振り返り、故郷を懐かしんだ。