ヘリオス、網膜以外にもiPS活用 治療法開発へ

ヘリオス、網膜以外にもiPS活用 治療法開発へ

出所:2013-09-04 日経新聞

iPS細胞を使い網膜の再生医療に取り組む創薬ベンチャー、ヘリオス(旧日本網膜研究所、東京・中央)の鍵本忠尚社長は、網膜以外でも広くiPS細胞を用いた治療法を開発していく方針を示した。また欧米での事業化に向け、資金調達のために株式上場を検討していることも明らかにした。

同社は理化学研究所と共同でiPS細胞を用いた「加齢黄斑変性」の治療用の細胞シート開発を進めている。2日に本社を福岡市から東京都中央区に移すと同時に社名を日本網膜研究所からヘリオスに変更した。鍵本社長は「iPS研究で世界初の臨床研究を行っている中で、その他の疾患も治していきたいと考えた」と述べた。

新たな開発対象となる疾患は眼科以外の複数の領域で、既に動物実験を開始しているものもある。薬では治せず、治療に費用のかかる疾患を対象にするという。ただ、治験は加齢黄斑変性患者向けの細胞シートが実用化されてから開始する。

「加齢黄斑変性」の治療用細胞シートについては、2~3年後をめどに日本での実用化を目指すほか、欧米にも拠点を設置して実用化を目指す。500億円が必要ともいわれる欧米での治験に向けた資金調達のため、同時期に上場も検討する。

同社はこれまで、大日本住友製薬やニコン、渋谷工業などから合計30億円の出資を受けた。網膜細胞の量産技術の方向性が見え、開発のパートナー各社と資本提携ができたことから、規制当局との交渉が増えるタイミングで本社を移転した。第3相試験まで行うには30億円では足りないが、製薬会社への販売権の売却により、費用を賄う考えだ。

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