患者のiPSで難病を再現 京大や名市大

患者のiPSで難病を再現 京大や名市大

出所:2013-12-26 中日新聞

筋肉や靱帯(じんたい)の中に骨ができる難病「進行性骨化性線維異形成症」で、患者から作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って同じ病状を再現することに、京都大と名古屋市立大などのグループが成功し、25日に発表した。組織の研究を進めれば、治療につながる薬を探すことが可能になるという。

進行性骨化性線維異形成症は、筋肉や靱帯の中に骨ができるため、歩行困難などを招く難病。日本には50〜70人の患者がいるとされる。原因遺伝子は特定されているが、この遺伝子がどのようにして病気を引き起こすかなどは、はっきりしていない。患者から組織を採取すると症状が悪化するとの特徴があり、組織の研究が難しいという問題を抱えていた。今回は5人の患者の皮膚からiPS細胞を作製し、そこから骨と軟骨へと変化させた。その結果、標準的なiPS細胞と比べ、患者のiPS細胞は骨や軟骨に変化しやすい特徴があることが分かった。

さらに病気の原因となる遺伝子の働きを阻害する化合物を入れると、iPS細胞が骨になるのを抑制できることも確認できた。研究グループの名古屋市立大大学院の松本佳久さん(整形外科)は「この病気は手術では治せない。効果のある薬をつくる第一歩だ」と話している。

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