成長因子の生殖細胞発現誘導、中胚葉が重要な役割-京大が発見
出所:2013-12-11 日刊工業新聞京都大学大学院医学研究科の斎藤通紀教授、荒牧伸弥特定研究員らの研究グループは、サイトカイン(成長因子たんぱく質)のWNT3、BMP4などが、生殖細胞因子の発現を誘導する際、血液や筋肉に分化する「中胚葉」の遺伝子が重要な役割を果たすことをマウス実験で突きとめた。ヒトや動物種などの生殖細胞の形成過程解明につながると期待される。研究グループは、すでにマウスのiPS細胞(万能細胞)などから始原生殖細胞を誘導し、精子や卵子を作製することに成功している。今回、マウスの胚性幹細胞(ES細胞)から、あらゆる細胞のもとになる細胞(エピブラスト様細胞)への誘導で、WNT3がエピブラスト様細胞に転写因子を含んだ多くの中胚葉遺伝子の発現を誘導していることが分かったという。BMP4はWNT3の働きを調整する役目を果たしていた。成果は10日、米科学誌ディベロップメンタル・セル電子版に掲載された。