高付加価値医療を推進 国家戦略特区で神奈川県など提案へ
出所:2013-08-20 神奈川新聞一定エリアを対象に規制・制度改革によって経済再生を図る「国家戦略特区」をめぐり、県、横浜、川崎両市の3者が健康長寿、ヘルスケア・ライフ産業の振興を基本コンセプトにした提案を政府に行う方針であることが19日、分かった。高付加価値な医療特区形成へ向けた規制・制度改革を盛り込む方針。政府は首都圏、関西、中京の三大都市圏を中心に指定を検討しているとされており、特に国際化した羽田空港の周辺エリアは有力候補とみられる。
政府は12日、同特区に対する提案の募集を開始。9月11日まで受け付け、有識者で構成するワーキンググループによるヒアリングを経て、10月中旬に対象地域を決める見通し。
地域活性化に主眼を置き、地方が自主的にエリアや事業を決める既存の総合特区に対し、国家戦略特区は政府主導で推進する点が特徴。日本再興戦略で打ち出した医療、農業、エネルギー、ICT(情報通信技術)といった分野を中心に国の政策と合致した提案を選定。政府の意向でプロジェクトを再構築する場合もある。
県、横浜、川崎両市は既存の総合特区の指定(2011年12月)を機に革新的な医薬品、医療機器の開発を進めるライフイノベーションを推進。国家戦略特区への提案に当たっては、医療情報データを活用した予防・個別化医療、再生医療、ナノテクノロジー(超微細技術)を活用したがん治療薬の開発といったプロジェクトに一層の弾みをつけるため、「個人の医療情報の取り扱いルールの整備」「臨床研究に関連する病床規制の緩和」「国際共同治験の実施を目的とする治験薬の輸入特例」など10項目近くの規制・制度改革の必要性を提言する考えだ。
また、さがみロボット産業特区との連携、総合的な治療技術の輸出を通じたアジアへの貢献、羽田空港を核に行政区を越えた周辺地域の一体化も盛り込む方向。これまで県、横浜、川崎両市は羽田空港への交通アクセス改善のためのインフラ整備を国などに要望してきた。自治体関係者は「神奈川にとっては、羽田空港との一体性が向上し、企業、研究機関の集積促進に結び付けられるかどうかが焦点となる」と話している。