iPS作製、初期化の逆戻りが壁に 京大・山中教授ら発表
出所:2013-06-25 京都新聞iPS(人工多能性幹)細胞の効率的な作製のためには、初期化を逆戻りさせるメカニズムを排除することが重要なことを、京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授や高橋和利講師、田邊剛士研究員らが突き止め、米国科学アカデミー紀要で25日発表する。
iPS細胞の作製効率は非常に低く、山中教授が最初に見つけた四つの遺伝子(山中4因子)を導入する手法では0・2%にとどまる。山中教授らは遺伝子Lin28など2因子を加えた手法を確立、この6因子が初期化でどのように働くのか調べた。
山中4因子を人の皮膚細胞に入れて、初期化の指標となる遺伝子TRA1―60が働いているかどうかを見ると、約1週間後に約20%で発現し、初期化が始まったが、うち75%は元の皮膚細胞に逆戻りした。一方、4因子にLin28を加えると、逆戻りするのは50%以下だった。高橋講師は「体細胞に逆戻りするメカニズムを突き止めたい。Lin28以外にも逆戻りを抑える因子があるのではないか」と話している。