京大チーム作製、関節治療に道
出所:2013-10-17 中日新聞人の皮膚細胞に3つの遺伝子を入れて直接軟骨のような細胞に変化させることに、京都大の妻木範行教授(細胞誘導制御学)らのチームが成功した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)を経由するより短期間で作製できるなどの利点があり、再生医療への応用が期待できる。成果は17日に米国科学誌電子版に掲載される。
軟骨細胞は関節の滑らかな動きとショックを和らげる役割を果たしているが、再生能力が低く、けがや加齢で失われることもある。軟骨細胞を失ったことによる痛みや変形性関節症の治療に役立つ可能性がある。妻木教授らは、2011年にマウスで同様の手法で軟骨細胞を作製することに成功していた。
今回は人の皮膚細胞に、iPS細胞を作製するときに必要な2遺伝子と、軟骨細胞作製に必要な別の1遺伝子を入れた。5日程度で軟骨細胞が確認でき、14日後には軟骨細胞の塊となり、2カ月ほどで移植可能な細胞数になった。iPS細胞を経るより半分ほどの期間で変化させることに成功した。
がん化に影響を与える遺伝子を使用しているなど課題があるが妻木教授は「今後の研究課題として遺伝子以外の化合物を使うなどの方法で軟骨細胞を作製したい。この化合物を患部に投与することで治療できる可能性が出てくる」と話している。