再生医療ビジネス、中東進出 阪大 心筋や軟骨再生
出所:2013-12-25 朝日新聞大阪大学が、得意にしている再生医療のビジネス化を中東で始める。手始めに来月、カタールの患者を受け入れるほか、医療施設の建設にも協力。大学が医療技術を「事業」として提供し指導料を得る新たな試みだ。オイルマネーで活気づく中東諸国への「技術輸出」を最終目標に置いている。
来月は、阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科)が来日した患者を担当。心筋が薄くなり、血液を送り出す力が弱くなった患者の太ももの筋肉細胞を培養して再生シートを作り、心臓に貼り付けて機能を再生させる。その後も、外国人患者の受け入れを手配する日本エマージェンシーアシスタンス(東京)と協力して患者を中東から受け入れたり、手術をしたりして関係を強化。4年後には、カタールの政府系財団が設立する再生医療・細胞シートセンター(仮称)に協力し、現地で再生シートの培養と治療を始める。阪大は、これらの事業で得た収入をその後の研究に生かす考え。
さらに、培養装置やクリーンルームなど必要な施設納入に向けて、大阪商工会議所と連携して医療機器メーカーが中東に進出するのを支援する。
口の中の粘膜細胞を培養し、角膜の病気で失明の恐れがある目に移植する西田幸二教授(眼科学)の技術や、ひざの細胞を使った軟骨再生も検討する。カタール側とは、日本から派遣する医師の現地での免許の扱いなどを調整中だ。