iPS網膜:来年にも治験 治療用製品に

iPS網膜:来年にも治験 治療用製品に

出所:2014-01-22 毎日新聞

人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜細胞を治療用の製品として使えるように、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)などが、準備に入ったことがわかった。1〜2年以内に治験を始める方向で、審査を担う独立行政法人、医薬品医療機器総合機構と既に協議している。同センターは、iPS細胞を使った世界初の目の病気「加齢黄斑変性」の臨床研究と並行して治験も進め、iPS細胞の恩恵を、多くの患者が受けられるようにする狙い。

iPS細胞から作った細胞などの製品化は血小板や神経幹細胞でも計画されているが、治験の協議に入ったことが分かったのは、初めて。研究室で開発した薬や医療用製品などを広く治療に使うには、試験的に人に使って安全性や有効性を確認し、国の承認を得る必要がある。この試験は治験と呼ばれ、日本では同機構が一括して審査を担っている。同センターの高橋政代プロジェクトリーダーらによると、臨床研究は患者自身のiPS細胞を使うが、今回の治験は拒絶反応を起こしにくい免疫の型を持つ人からの細胞を使う方針。バイオベンチャー企業「ヘリオス」(東京都中央区)や大日本住友製薬(大阪市中央区)も共同で行う。2018年の製品化を目指している。

iPS細胞を使った製品は、京都大などがベンチャー企業と共同で血小板で計画。また、厚生労働省によると、慶応大や大阪大などでも神経幹細胞や心筋シートなどで検討されている。いずれも製品化には同機構の審査と厚生労働相の承認が必要だが、同機構は毎日新聞の取材に「個別の案件の進捗(しんちょく)状況は答えられない」としている。高橋リーダーは「一刻も早く患者の治療に役立てるため、研究と並行して治験も最短でやりたい。できるところから進める」と話している。

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