実用iPS血小板作製へ…国内ベンチャー
出所:2014-01-28 読売新聞東京大や京都大のiPS細胞(人工多能性幹細胞)研究者らが設立したベンチャー企業が、人の治療に使える実用レベルの血小板をiPS細胞から作製する専用施設を、3月に京大で稼働させることがわかった。今夏までに血小板を作製し、日米で2016年に治験を開始する予定で、20年ごろの製品化を目指す。ベンチャー企業は「メガカリオン」(東京都港区、三輪玄二郎社長)。
血小板を作る技術は、江藤浩之・京大iPS細胞研究所教授、中内啓光・東大医科学研究所教授らが開発した。iPS細胞から造血幹細胞を作り、血小板の元となる巨核芽球という細胞に変化させ、この細胞を増やして冷凍保存する。メガカリオンは中内教授らが中心となって11年9月に設立した。同社は実験室で血小板を作製し、動物実験で安全性や有効性を確認していたが、人体に使える安全性の高い血小板を製造するため、無菌状態にできるクリーンルームを京大病院の敷地内に設置する。
輸血用の血小板は保存期間が約4日と短く、慢性的に不足している。iPS細胞から血小板を作った場合、血小板には遺伝子が入っている核がないため、iPS細胞で最も心配されるがん化の恐れがない。ウイルスが混入する危険もないため、大量生産する技術を確立すれば、より安全な血小板輸血が実現できるという。血小板 血液に含まれる成分の一種で、血管の傷をふさいで止血する働きがある。血小板を主成分とする輸血用製剤は、急性白血病や骨髄腫、抗がん剤治療の副作用で起きる血小板減少症などの治療に用いられる。国内では、製剤の原料を献血に依存している。