iPSとSTAPの研究、どのように進めるのか、国の方針を明確にすべきでは?

ハーバードの研究チームが、2011年からサルで脊髄損傷の研究をしていることが判明した。しかも、同大医学部の小島宏司医師によると、脊髄損傷で足や尾が動かなくなったサルの細胞を採取し、STAP細胞を作製、これをサルの背中に移植したところ、 サルが足や尾を動かせるようになったという。

脊髄損傷患者は、国内で年間約5000人も増え続けている。バイク事故や転落事故などによって若い患者も少なくない。彼らの生きる希望の一つは、また再び自分の足で歩きたい、自分の手で食事をしたい、という健常者ではごく当たり前のことであろう。究極的に言えば、患者からすれば治療法がハーバード大学だろうが、慶応大学だろうが、どちらでも良いと思う。但し、日本の国としては、政府の方針により再生医療を国の基幹産業の一つとすることを狙っているので、それほど簡単な話ではない。

新万能細胞、サルの治療で実験中…ハーバード大

出所:2014-01-30 読売新聞

細胞に強い刺激を与えただけで作製できる新たな万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の開発に理化学研究所と共にかかわった米ハーバード大の研究チームが、脊髄損傷で 下半身が不自由になったサルを治療する実験を進めていることを30日明らかにした。

研究チームの同大医学部・小島宏司医師によると、脊髄損傷で足や尾が動かなくなった サルの細胞を採取し、STAP細胞を作製、これをサルの背中に移植したところ、サルが足や尾を動かせるようになったという。 現在、データを整理して学術論文にまとめている段階だという。研究チームは、人間の赤ちゃんの皮膚からSTAP細胞を作る実験にも着手。得られた細胞の能力はまだ確認中だが、形や色はマウスから得たSTAP細胞によく似ているという。

どこの国も同様であると思うが、限られた研究予算をどのように割り振るかは、まさに国の舵取りの腕の見せどころである。民間投資の研究費も大きいアメリカでは、iPS細胞への投資金額と同等の規模の資金を集めやすいので、と今回のSTAP細胞の発明は、より有利に働くかもしれない。我が国が、限られた予算をどのように配分するのか/どのような意思決定を下すかについて推移を注意深く見守っていきたい。STAP細胞の発明は、国の骨太の政策の一つである再生医療において、日本のビジネス感覚や実力を見極める良いチャンスともいえよう。
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