腫瘍になるiPS細胞、光らせて除去 産総研などが試薬開発
出所:2013-03-20産業技術総合研究所と和光純薬工業は19日、様々な組織に育つiPS細胞から移植用細胞を作ったときに、腫瘍になりやすい質の悪い細胞だけを取り除く検出試薬を開発したと発表した。腫瘍を作るiPS細胞にだけくっついて光り、専用の装置を使えば簡単に取り除ける。和光純薬は年内に研究用に販売し、5年後に医療現場での実用化を目指す。
iPS細胞は病気や事故で機能を失った臓器などを取り戻す再生医療への応用が期待されている。移植に使う目的の細胞になりきらないままの細胞が残ると、体内で腫瘍になる危険があり、治療の妨げになる。
開発した試薬は、腫瘍を作るiPS細胞の表面にある糖鎖と呼ぶ物質と結合するたんぱく質「レクチン」に、蛍光で目印を付けた。人間の皮膚の下にある細胞と腫瘍を作るiPS細胞が混ざった容器に試薬を加えた。蛍光で分離する装置に混ざった細胞を入れたところ、2種類の細胞を分けることができた。
(日本経済新聞)