3Dプリンターの医療用分野での活用に期待
出所:2014-01-07 マイナビ3次元のデータを元に立体物を複製することができる3Dプリンターを活用し、患者本人の皮膚細胞などから採取した細胞の塊から動脈を作製する技術を、佐賀大学と東京のバイオベンチャー企業が共同で開発したことが分かった。
開発したのは、佐賀大大学院工学系研究科の中山功一教授(先端融合工学)と2010年設立の再生医療バイオベンチャー企業「サイフューズ」。3Dプリンターでの血管作製技術の確立は国内初。基本特許は各国に出願済みで、すでに日本、米国、中国、シンガポールで権利を取得した。人工透析などで多く使われる樹脂製の人工血管は、体内で菌の感染を拡大させる恐れのあることが課題だったが、患者本人の細胞からできた人工血管は自己免疫が働きやすく、抗感染性に優れているとみられていることから、人工透析や心臓の冠動脈バイパス手術の移植などに使用しようと、佐賀大医学部で動物への移植実験を進めている。臨床試験(治験)などを経て、2018年の実用化を目指す。
3Dプリンターは安倍政権の成長戦略でも有望分野として強化する方針が掲げられており、経産省は14年度予算案で3Dプリンター開発の支援事業として40億円を計上した。
このような中、3Dプリンターを活用し新たに医療の分野にも役立てることができれば、患者にとっても様々なところで負担の軽減や危険性の低減などができることで、より前向きな治療を受けられそうだ。早期の実用化に期待が高まる。