iPS細胞:骨できやすい難病FOPの症状再現
出所:2013-12-25 毎日新聞京都大iPS細胞研究所などの研究チームは25日、筋肉などが骨になる難病「進行性骨化性線維異形成症」(FOP)の患者の皮膚から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、骨ができやすい症状の再現に成功したと発表した。病気の研究に役立つほか、このiPS細胞を使って骨をできにくくする物質を探せば、治療薬の開発につながる可能性があるという。
研究チームの戸口田淳也・京都大教授は「(治療に向けて)確実に前に進んでいる」と説明している。戸口田教授によると、FOPは200万人に1人程度の割合で発症する希少難病。けがをきっかけに悪化するため患者から多量の組織は採取できず、発症メカニズムの研究は困難だった。今回の研究は、患者5人から皮膚の提供を受け、iPS細胞を作製。骨化しやすい条件で15日間培養すると、病気でない人のiPS細胞の1・2倍程度、骨化が進んだという。研究は、国が支援してオールジャパン体制で研究を進める「再生医療実現拠点ネットワーク事業」の一つ。今後、同事業で薬の探索を進めるという。
FOP患者の兵庫県明石市立明石商業高校1年、山本育海(いくみ)さん(16)は「研究が進んでいることは励みになる。治療薬を一日も早く開発してほしい」と話し、母智子さん(40)も「何よりのクリスマスプレゼント」と喜んだ。論文は、希少・難治性疾患専門の英オンライン科学誌に掲載された。